2008年12月24日

目が惹きつけられる Wayne McGregor の振付け

(個人ブログだから、私の主観であることは言うまでもないのかもしれないが。。)
バレエの面白さは、筋肉の動きの美と、踊りを通して音楽とどう一体化するか、にある。
クラシック・バレエの魅力は、か弱い女性のストリーにではなく、喜怒哀楽の感情が筋肉で表現されている点。(ダンサーのコントロールの賜物なのだが、本能的でダイレクトな表現に見えるのが面白い。)

対照的に、コンテンポラリー・バレエは、舞台の内容と自分がどうコミュニュケーションをとっていいのか掴めないことが多い。ベルリンで見た『スクリーン セイバー』(振付師は誰かわからない)は、素晴らしかった。でも、稀な経験。

ところが、英国、ロンドンの Royal Opera House 専属振付師、Wayne McGregor の作品は、私達の持つ体のリズムと、テクノロジーの持つリズムの類似を抽出し、相違と混ぜている。空間もそのリズムに最適の状態が創りだされ、目が惹きつけられ、(できることなら)一緒に踊りたくなる。


2年前に絶賛され、再上演されている Wayne McGregor のChroma (freedom from white) から。
Chroma-McGregor.jpg

* 他の写真は、Danza Ballet のサイトにて。


McGregor の振付けは、コンテンポラリー・ダンスの無味乾燥な感情表現とは異なる。

テクノロジーに囲まれた生活から抜け出せない私達。そして、視覚的(コンピューター、携帯電話が側にあること)に、感覚的(コンピューター、携帯電話に触れていること)に、テクノロジーと生活することに安堵を感じる私達の波長と、彼の振付けは、交わる点と、はじく点を持つため、メリハリが明確で、興味深い。

下記は、McGregor の解説付き、Infraのレッスン風景。


McGregor の作品を舞台の最前列で見たい。

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McGregor は、22歳の時にRandom Dance というダンスカンパニーを立ち上げ、Royal Opera House 以外でも活動している、注目の振付師。

Royal Opera House の VIDEO サイトでは、オペラ、バレエ[クラシック&コンテンポラリー]の様々なショート・クリップ(ダンサーのインタヴュー、レッスン風景、舞台裏、バレエシューズ、過去の舞台 etc...)を紹介している。ドン・ジョバンニはフルで見ることができる。こちらから。
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2008年12月20日

筆さばきの妙から生まれる、墨の動きを体現したパフォーマンス

どうも、しっくとしたタイトルが浮かばない。

が、北京オリンピック開会式のこのパフォーマンスは、アートの平面の形式を、立体を飛び越え、いっきに動画として表現しつつ、平面の作品からも伝わる「滑らかさ、迫力」を伝えている、という点で非常に面白い。

Scroll of Harmony.jpg

別の言葉で表現すると、アートの形態は、もともと、平面、立体、建築、動画、などの種類別があり、その形態、素材の特色を活用して、表現したいものを芸術家が生んできた。
平面図から受ける印象と、動画から受ける印象が異なるのが一般的である。
そして、墨とダンサーの動きの類似を考えることも少ない。

が、
中国の水墨画家が、その作品を見る人に伝えたいと意図したこと、例えば、動きのある滑らかな筆さばきから生まれる、墨が作り出す繊細な表現と力強い表現、自然(山や川)から受けた印象を作品に封じ込めた様子が、下記のパフォーマンスによって表現されている。
作品を見る人が、その絵巻物の景色の中に入り込み、景色を堪能してほしい、と感じた様子も、パフォーマンスで現れている。
筆と墨という特色を生かし、例えば、油絵のように描き直しが不可能、筆の動きが、ラインに影響するため、途中で筆動きを止めると、全ての作品に影響を及ぼすこと、墨のまったりさが、紙や絹に吸収され、紙や絹が作品として生命を帯びることなどが、パフォーマンスで生きている。
この、平面とパフォーマンスの様々な相互関係に圧倒される。

現代は、動画や、イメージ制作の技術が発達し、見る側の想像力(以上)の作品を伝える。作り手の想像力の方が豊かであれば、その迫力で、見る側を圧倒する。私たちの想像力を必要としない場合も多くなり、過去の作品で、芸術家と見る側が作品を通じて、どう通じ合ったかということを意識しづらくなっている。この動画の映像を見、今から一千年以上前に、作り手は同じようなことを考えていた、と想像するのも面白い。

コンピューターの画面では、迫力さや、平面と動画の形態の関係を感じづらい、かもしれない。大きなスクリーンで見る機会があれば、是非。



一学期に中国絵画のクラスを選択し、個人的な好みでは、宋朝の水墨画。
画家(学者)の考えていたことが面白いので、それは次回に。


もし、北京オリンピック開会式を見逃し、さらっと、画像を見たい方は、こちらを。

上記のYoutubeより画質がいいビデオを見たい方はこちらを。(接続の為に、このアドレスを何度かクリックする必要があるかもしれません。)

上記のYoutubeより長いバージョンを見たい方はこちらを。

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2008年12月19日

肖像画と建築 (一部)

イアサント・リゴーによって、1701年に描かれた作品。[ルーブル美術館所蔵

ルイ14世 (1638ー1715:在位1643〜1715)
LouisXIV-1701.jpg

ルイ14世が63歳時の肖像画だが、脚だけ見ると若若しく見え、初めて下記の「脚」を見た時は、思わず「は!」と。

大学すぐ側にある、靴の博物館。

Bata Shoe Museum.jpg


それで、ふと、思い出したのが、イングランド国王、チャールズ2世の肖像画。1670年に、ピーター レリー卿が作成。

チャールズ2世(1630ー1685:在位1660〜1685)
Charles II-c1670.jpg
© National Maritime Museum, London


当時、権力を強調するために使われた、典型的な装飾のパーツの使い方の違いも興味深い。後ろにある大柱の意味(建築が、どう扱われたか)や、立ち方の違い(似ているようで大きく違う点)、剣を持つか持たないかなど、肖像画はいろいろ語る。

Monument-GFL.jpg
1666年にロンドンでも商業の中心地が大火に見舞われ、中世の木造の家々が灰となり、セイント・ポール大聖堂も再建が必要な程被害を受ける。「この大火は、カトリック教徒の仕業である。」というプロテスタントの市民による噂が絶えず、それは以後も続く。
チャールズ2世は、ロンドンを、中世の雰囲気ではなく、他の有力都市と同じ威厳のある都市づくりを希望するが、財政面の貧窮さや、商業地ゆえ、緊急に再興を要し、道路整備からの変更は叶わない。
何か記念碑を建てようと、当時、世界で最も高さのある大柱の建設計画が出たのが、1670年頃。市議会で、デザインの賛同が得られたのは、1671年。
ロンドン橋が移動され、この記念碑の目印としての効果もなくなり、現在では、スカイスクレーパーによる建造物に埋もれ、観光客もあまり訪れないようである。が、当時、ローマ人より高い大柱を建てる技術があることを対外的に示したのがこの大柱。政治的な目的があったことなどを、大火後の他の建築物ともども考えると、17世紀の建築史は面白い。

他方、パリやヴェルサイユでは、ルイ14世が、絶対王政の元、イングランドよりはるかに進んだ建築技術を用いながら、ルーブルやヴェルサイユ宮殿を建造。1665年に、ルイ14世は、建築家としても有名なベルニーニをフランスに招待し(教皇アレクサンダー7世ですら、ルイ14世の依頼を断れなかった)、ルーブルの建築デザインを依頼する。ベルニーニのデザインは、フランスに合わないと結局却下されるが、ベルニーニによるルイ14世のマーブル像は、今でもルイ14世の威厳を醸す。
ベルニーニは、パリの石工の技術は劣る、とし、ローマから石工を連れて出向くが、これがフランスのプライドを逆なでする。ローマを凌ぐ技術を見せつけ、フランスらしいデザインを表現。特に、水不足のヴェルサイユに、溢れる水をもたらした水力学の発展など、ヴェルサイユを訪れたことのある人は、その技術発展を実感するであろう。
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2008年12月18日

Google Book Search を使おう

日本で、美術史を通じて英語を独学する方法の例の続き。[他の科目も同じだと思うけど。。]

例えば、 ”Bernini ー Power of Art” を見た後で、もっとベルニーニについて知りたい、と思ったとする。

お薦めは、Google Book Searchを使うこと。
ベルニーニともなると、インターネットで多くの一般的な情報を見つけることは可能だが、ネット・サーフィンで時間を無駄にするよりは、このGoogle Book Searchは便利。中身をある程度読んで、気に入ったら Amazon にて購入可能。
私は、論文を書くとき、自分の借りたい本が貸し出し中で、どうしても中身を読みたい時に、このサイトを使ったり、図書館に行く前に、Google Book Searchで中身をさらっと読む。

全部、本の中身を見ることができることは、それほど多くないが、検索用語を変えることで実はある程度読める。ケンブリッジ大学出版は読めないけれど、独自サイトで、本の内容、目次、あらすじなどを公開している。

ベルニーニの場合、例えば「Bernini Alexander VII」と入力すると、始めの5〜8冊は、どれもお薦めの本が紹介される。

なんて、便利な時代なんだろう!
posted by mandelin-coffee at 01:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月17日

Bernini ー Power of Art

日本での英語の独学にインターネットは便利。もし、美術が好きであれば尚更。
一つの方法として、YouTubeなどのVideo clip を活用。

もともとBBC作成、GianLorenzo Bernini (1598ー1680)が、YouTubeで見られるので是非。
このビデオでは、素肌の生々しさ、血が流れている人間のような質感、アクション(躍動感、情熱 etc..)、表情(エクスタシー、威厳、恐怖 etc..)などを、大理石や石で作りあげたベルニーニの最盛期、途中の浮き沈み込みで描かれている。
作品だけでなく、人間ドラマ的な内容。作り手の主観的な見方が多少強調されている感はあるけれど、一般向けで、簡潔かつ、多くのことを物語る。





ナレターとプレザンターは真面目な声色で、皮肉もジョークもさらっと流している。

Have fun !
posted by mandelin-coffee at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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