2009年05月31日

視線を感じたので。。

にわか雨と雷が通り過ぎたなぁ、と感じつつ、論文を校正していたら、気のせいか見られているような感覚を持つ。[光が差しただけなのだけど。]ふと、その視線の方へ振り返ってみてみたら、虹がかかっていた。

May30-2009-0800pm1s.jpg   May30-2009-0800pm4s.jpg

(クリックで拡大)


虹のたもとに行けそうなほど くっきりとした虹。


* 他の季節ごとの写真は、こちらをクリック
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2009年05月23日

映画で見る 宗教改革


Luther [DVD] [Import]

★★★ Luther (2003)  マルティン・ルター

宗教改革の中心人物として知られているマルティン・ルター(1483ー1546)について、どういう印象を持っているだろうか?

カトリックの贖宥符販売に、『抗議をした人』というイメージであれば、「歯向かった/盾突いた」というネガティヴな印象が避けられないかもしれない。その余波の一つとして、過激プロテスタント信仰者が偶像崇拝に反対し、教会美術を破壊した、というイメージもあるかもしれない。

高校で世界史を選択している。日本史でイエズス会と幕府の関係に関心がある。ルターにネガティヴな印象、固い印象を漠然と持っている、ヴァチカンを訪れ、ミケランジェロの作品を見たことはあるけれど、宗教分裂の歴史が曖昧。。。という方には特にお薦めの映画。実は、トロント大学の歴史学部の2年生コースで、この映画のレヴューを書く課題があったことを知り、私も見た次第。ルネサンス以後の文化史・美術史を説明する機会があるなら、この映画を始めに紹介する。

他の美術同様、時間の限られた映画では、全てが正確に描かれている訳ではない。この件は、批評家・歴史家がウェブ上で紹介している。とは言え、この映画「ルター」は、私が持っているルターの印象に遠くない。宗教学の講義を聞いていた時に感じた印象に近い。肯定面のみを書くなら、雄弁力に長け、情熱的でありつつ、ジョークも冴え、冷静でもあった、と思う。この映画を見ていると、今一度、どの組織(お金が絡む団体)も両面を持っていること、利益優先となると潔白であることはあり得ないであろうこと、などもまた考えさせられる内容である。

映画に出てくる、神聖ローマ帝国カール5世の顔が、肖像画を意識している点など、配役について考えるのも面白い。Johann Tetzel 役のアルフレッド・モリーナは、憎めない悪役を演じるのが本当にうまい。とは言え、最近ドイツ人若手監督による作品に注目しているので、ドイツ作の「マルティン・ルター」が見たい。


映画では具体的に入りきらなかった内容の補足を少し書くと。。。

マルティン・ルターは、新約聖書のドイツ語訳だけではなく、賛美歌の作詞・作曲も多く手がけ、音楽に関して、ラテン教父とも呼ばれる聖アウグスティヌスとルターの考えとの類似性がある、という面を語られることは、一般的にそう多くはない。ルターの音楽への考えと行動が、後の、ヨハン・ゼバスティアン・バッハを始めとした音楽家の流れへと続いたこと、多くのクラシックの音楽家が、ドイツ語圏の出身であることを思うと考え深い。

西洋美術史を学んでいること、キリスト教の芸術を学んでいる時間が長い。特に、カトリック。カトリック教の美術は、宗教的だけではなく、政治的、社会的、文化的。。あらゆる目論見・信仰心が折混ざっているため、時代の鏡として読むことができる。内部はもとより、外部からの影響が映っている。
プロテスタントの影響がなければ、バロック美術もバロック音楽も異なったものになったであろう。特に、マルティン・ルターの功績(当の本人は芸術を改革する、新しい芸術の運動を作り出す意図はなかったであろうが)は、大きい。実際、この頃の美術は面白い。プロテスタントの信仰に対抗する目的があるため、カトリックの美術がドラマテッィクになる。

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2009年05月17日

もっとも健康的なファースト・フード、と言えば。。


ケバブ !!


ファーストフードを普段食べない(意外に安くないから。。)私の意見のため、異論も多いであろう。ドイツ、英国、フランスだけではなく、トロントにもケバブ店はあり、店の前を通り過ぎる度に、国により異なる匂いがする。ロンドンで食べたケバブが、時々懐かしい。

ともあれ、ドイツ、ハンブルグを舞台とした、コメディー映画(2005年 公開)、「ケバブ・コネクション」を見たら、あんな大きなケバブほおばりたいなぁ。。と思わずにはいられない。

★★★ ケバブ・コネクション
監督:Anno Saul



トルコ vs. ギリシア
ドイツ =/= トルコ
の対比が面白く作られている。ドイツのフランクフルトや、スイスのジュネーヴに行くと、トルコ系の人の方が多いんじゃないか、と思うほど、沢山の中東系の人々を見かける。でも、未だにトルコがEUに加盟できていない現状など、歴史が絡んだ、複雑な国際関係が、日常の人間関係にまで及んでいることが、コミカルに描かれている。敵対関係を保持することで都合のいい人や、先入観にとらわれている人が強調している歴史的な敵対関係は、人間対人間のつきあいの場合、不要のことが多い。

手裏剣、チャンバラ、カンフーなどが組み込まれていて、親近感を感じる映画。

テッツィ(下記画像、左)のように、妊娠をしても、自分のしたいことを諦めない姿勢が、ヨーロッパ、北アメリカ、中国や東南アジア流。他方、男、女という伝統の形式に捕われるのが、今回トルコ人のイヴォ(上記画像、左/下記、画像、右)で表現されている。

見ていて、電化製品など日常身の回りにあるものは、日本の方がはるかに進んでいるけど、トルコ人も日本人もあまり変わらない考え方なんだな、と。人間の精神面は、生活水準が高くなっても、テクノロジーが進んでも、国を超えても、あんまり変化しないんだなぁ。。と感じた次第。



テンポがいい映画。

写真をクリックすると、Kebab Connection オフィシャル・サイトへ移動。
ケバブって何?って思った方もオフィシャル・サイトを見れば、典型的なケバブショップの内装が見られま〜す。店内のメニュー(文字が小さいけれど)をクリックすると、予告なども見られるので是非♪

ラベル:ドイツ映画
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2009年05月12日

Christopher Kuzma が描く ギリシアの神々

OCAD(Ontario College of Art & Design) の卒業生作品展で、イラストレーション部門の受賞者の Christopher Kuzma の作品は楽しい。

今年度の受賞作品らを見ていると、過去の有名な芸術家、ヴェラスケスやダリを発展させようと試みた、言い換えるなら、過去の作品を21世紀に再生しようとした作品が賞を取った感。実際に再生したかどうかは別として。。。

Christopher Kuzma の作品は、ギリシア神話を巧妙に茶化している点が面白い。

● 絵のタイトル:Artemis
ギリシア名がアルテミス。ロシア名がダイアナ。この図は、アルテミスとアクタイオーンの話から。
ChrisKuzma--Artemis.jpg

 
この猫(アルテミス)の目が、なんとも言えない。拡大図を、彼のウェヴサイトで見てほしい。

● 絵のタイトル:Zeus
ゼウスと言えば、ギリシア神話の中でも最権力者的な立ち場にいるが、妻がいても、あちこちで交わりを持つ。ゼウスのシンボルである、雷がここでは。。(笑)


上記の絵で、セメレとゼウス、セメレとアクタイオーンのストーリーを知っていると、Christopher の茶化し方に座布団を10枚くらいあげたくなる。


もっと他の神々を見るにはこちらを。
Christopher Kuzma の他の作品は、こちらを。


ギリシア神話は、書く人によってドラマティックにもロマンティックにもエロティックにも、退屈な物語にも「変身」する。この点は次回の記事に書くとして。。

このブログ用に、下記の表(ギリシア神話の家系図のほんの一部)を作ってみたのだが、神々(不死)と人間(死を免れない)が交わっているラインより、神々の混じり合いは色を鮮明にしてみた。
神々は、ローマ名をカタカナで、ギリシア名を英語表記している。英語表記のないものは、人間。親子、兄弟、従兄弟関係に注目。そのため、ジュピター(Zeus)とセメレ、バッカス(Dionysus)は、同一人物で、二重表記。ちなみに、神々は時間とは無縁。
Family-tree-Shinwa.jpg

(注)ジュピター(Zeus)は、ヴィーナスとマルスの父親でもある。(作家によりヴィーナスの異なる誕生説あり。)

現在、映画やドラマの物語も、悲劇もコメディーもロマンスも、家庭内トラブル、遺産問題、浮気騒動、ジェンダー・ギャップ。。元を辿るとギリシア神話に行き着くように思う。

この表だけでも、
ヴィーナス(Aphrodite)vs. ダイアナ(Artemis)
ジュピター(Zeus)→ アクタイオーン
マルス(Ares)→ カドムス
バッカス(Dionysus)→ ペンテウス

カドムス、ペンテウス、アクタイオーンは、不運にも神々の怒りをかい、悲劇な最後を迎える。

この表を知っていると、美術史ももっと楽しい。
例えば、
ヴィーナス(Aphrodite:愛の女神)とマルス(Ares:軍神)のサブジェクトは、ボッティチェルリを始めとして、愛が戦いより強いパワーを持つ的な絵が描かれている。従兄弟だが、アポロとバッカスの対比は芸術では有名。などなど。。

ラベル:OCAD
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2009年05月11日

Woong Hee Lee による H2O

OCAD(Ontario College of Art & Design) の卒業生作品展で印象に残ったのが、韓国人 Woong Hee Lee による H2O
Drawing and Painting 部門の中で光っていた作品。

Woong-Hee-H20-1s.jpg


下記、詳細。クリックで拡大可能。繊細な作品の中に、Woong Hee Lee の水を大切にしていきたい、という気持ちが込められているのが伝わる。

Woong Hee-H20-detail.JPG


ペットボトルの集まりであることが見える。

Woong-Hee-H20-2s.jpg


詳細。
Woong-Hee-H20-detail2s.jpg


大量のペットボトルを使用して、スカルプチャーやインスタレーションをするアーティストは多いが、Woong Hee Leeの平面図での表現は、静かだが想いが強く伝わる。

この作品が、壁画として、海辺など公共の場所にあればいいな、と思う。環境関係のコンフェレンスで、是非採用を検討してほしい Woong Hee Lee による H2O。


posted by mandelin-coffee at 04:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術学校で見た作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美術学校から見える風景

OCAD(Ontario College of Art & Design) の卒業生作品展(金曜日から日曜日の3日間)を見に行く。学校内を見て回ることができるのが楽しい。

OCAD には大きな窓があり、いろんな景色が楽しめる。右下写真、見えているのが、CN タワー。

窓のフレームが赤、黄色、緑、青など、積み木のように色分けされている。美術学校で、窓と景色の関係を意識して設計されている場所は多いように思う。座って写生もできる幅がある。

Views-from-OCAD.jpg


次回、面白いな、と思った卒業生の作品について。
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2009年05月10日

ドキュメンタリー・フェスティバル @ Toronto から

あー、見逃した!と、最近気付いたのが、トロントで開催されているドキュメンタリー・フェスティバルYoutube で公開されているクリップを見て、意外にすごーく面白い、ということに気付く。

Hot Docs Canadian International Documentary Festival
ホット・ドック カナディアン・インターナショナル・ドキュメンタリー・フェスティバルは、北アメリカで最大のドキュメンタリー映画祭で、毎年4月に(今年は明日まで)開催されている。カナダからはもとより、他の国々からも、150以上の作品からのセレクションが公開。

名前の”hot” 【hot = 熱い、新しい、人気がある、セクシャル的な魅力のある、物議をかもしている、凄く面白い。。。】が示すように、ジャンルの豊富さと様々な視点を楽しめる。Youtubeや、作品の公式ウェブ・サイトを見ているうちに、つい、はまってしまう。

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例えば、"THE YES MEN FIX THE WORLD" (意訳:世界修復、イエスマン)
監督:Andy Bichlbaum, Mike Bonanno, Kurt Engfehr

現在、世界征服している国はないけど、商品の中には、ほぼありとあらゆるところに進出している企業がある。例えば、コ・・・ラ、など飲料水やファーストフードの名前が出てくる。
"THE YES MEN FIX THE WORLD" は、市民一人一人のアイデンティティーとマス・メディアとの関係を見直すことを提示する運動(カルチャー・ジャミング)、つまり、大企業や政府が動かす、マス・メディアによる運営に対する疑問と批判を行う活動を反映した作品。
有名企業に見せかけた、偽のウェヴ・サイトを作り、そのサイトを維持し、コンフェレンス(会議)などを開いて、実際に参加者(有名企業によるものだと信じている人々)と討議したり、テレビに出演したり、する二人組。007のジェームズ・ボンドのように使命感を臭わせる二人組が、マス・メディアにどっぷり浸かっている人々をかつぐ、というドキュメンタリーの一つが"THE YES MEN FIX THE WORLD" 。
■■■■ Yes Men の公式サイトはこちら
Hot Docs での紹介ページは こちら


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COOKING HISTORY” 料理史: ”腹のすかせた兵士は戦えぬ”
監督:Peter Kerekes

前線の10万人の軍隊には、何を出したら良いのか?戦闘と、生存のための戦術に対するユニークな視点を紹介。軍のシェフの6度の戦争から、10種類のレシピを紹介。

■■■■ 公式サイトこちら
Hot Docs での紹介ページは こちら

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KOREAN WEDDING CHEST 韓国の花嫁箪笥
監督:Ulrike Ottinger

韓国の伝統では、新郎がこったつくりの花嫁箪笥を、花嫁の両親に呈する。貴重な宝物が箪笥に仕舞い、伝統的な衣装に身を包み、運ぶ様を、ドイツ人監督、Ulrike Ottinger は、その伝統的な儀式を丁寧に開けながら伝統を紹介する。さらに、最近の商業的な結婚式との対比を示す。



■■■■ 公式サイト KOREAN WEDDING CHEST
Hot Docs での紹介ページは こちら


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BITCH ACADEMY” (意訳:ビッチ・アカデミー:やな女はもてる)
監督:Alina Rudnitskaya

ストーリー:億万長者と結婚するすべを指導するロシア、サンクトペテルブルクにある学校が舞台。近年変動の激しいロシアで、様々な社会圧の元にいる女性が、良い男を落とすためにトレーニング。

Essentially, we teach you how to control your men and men in general, so that they will want you, love you, and respect and value you.
ーー 基本的に、私達(指導陣)は、あなた方に、あなたのパートナーだけではなく、一般的に男性をどう操るかを教えます。その術を知ることで、男性は、あなた方を愛し、尊敬し、大事にするでしょう。

They want to learn how to seduce, marry and control men. They want to learn how to be a bitch.
ーー 女性達は、男性を、どう誘惑するか、どう結婚に持ち込むか、どう操るかを知りたいのです。つまり、彼女達は、どう”いい女”(やな女)になるのか知りたいのです。

■■■■ Hot Docs での紹介ページは こちら

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Hot Docs での紹介ページから、おのおののyoutubeのクリップにジャンプすることができるので、是非、クリップを楽しんでみては?

もっと他の内容の概略を見てみたい、と思ったら、こちらのプログラム一覧表にアクセスを。


** 上記、私の意訳ですのでご了承ください。
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2009年05月08日

梱包用のテープの絡まり

オンタリオ・アート・ギャラリーで開催中のエキシビションより
Remix Exhibition Redefines the 21st-century Indian Artist
:2009年4月4日から 8月23日まで

〜 異なった北米先住民族の祖先を持つアーティスト15名の作品が展示中 〜

気になったのが David Hannan(1971ー) のスカルプチャー。
OCAD (トロントにあるアート・スクール)卒業後、トロントを拠点として活動中。

Untitled(The Hunt/Hunted) 2006ー2007


梱包時の透明のテープ使用。中身が空洞なので、光が半透過する。
詳細。
David-Hannan-the-Hunt3-D.jpg


日常どこにでもあるもので、作品を制作するアーティストは多いが、ディヴィッド・ハナンの作品は、もっと見たい、と思わせるインパクトのあるものだった。
フランス系カナダ人と北米先住民との混血のディヴィッド・ハナンの作品は、全く文化が異なるのだけれど、私にとってギリシア神話のダイアナとアクタエオンの物語を思い出させる。

他にも、モントリオールのアーティスト、Nadia Myre (北米オタワ川流域の先住民の先祖を持つ)による Spit of Experience (素材:フェルトなど)は、友人がケバブみたいだ、と言っていたけど、興味深かった。タイトルは、意訳すると「焼き串の経験」。
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2009年05月07日

レベッカ・ベルモア

夏期講習が始まる前に、オンタリオ・アート・ギャラリーにまた行ってきました。
ウォーカー・コート内に展示されていた、天幕。テント生地はベルベットのような質感で、ゴージャスな天幕。(布地が厚いため、外側からの光を通さない。)

Artist: Kent Monkman (Cree/English/Irish)
born in Ontario, Canada, 1965
"Salon Indien" (2006) ー video installation

AGO-Walker Court-tent2s.jpg

ヴィデオ・インスタレーションなので、天幕内の床に、モノクロの文字や映像が映し出されていたのですが、あまり興味が持てず、それより天井のライトに目が惹き付けられました。博物館などで見る天幕は、外側から見るだけなので、中に入った感覚を意識しづらいけれど、今回入ることができて、違う感覚を知ることができ、それに気をとられていました。
AGO-Walker Court-tent1s.jpg



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オンタリオ・アート・ギャラリーでは、国内外の芸術家の作品を展示していますが、今日のブログでは、カナダのアーティスト、レベッカ・ベルモアの作品に注目。

Rebecca Belmore (レベッカ・ベルモア:1960-)
北米先住民族のレベッカ・ベルモアは、カナダ政府の同化政策の元で育ち、その経験が作品に反映。第51回、ヴェニス・ビエンナーレにも作品を展示。

The Rising to the Occasion (1987) ーー> 意訳では、”凄腕”
Mixed Media(アメリカ白樺など)
先住民族への植民地政策の影響に注目した作品。ビーバー・ハウス・ドレス。


Rebecca Belmore-Rising to the Occasion-1s.jpg

1987年、オンタリオ州のサンダーベイ市に、英国ヨーク公爵と公爵夫人が訪問。その記念行列のパフォーマンス Twelve Angry Crinolines で着たドレス。サンダーベイ市の12人の女性が、先住民族の女性と題して、'angry crinoline'()を解釈した製作依頼を市から受け、それらの作品とともに無言のパフォーマンス・パレードを行う。

angry = 怒りの
crinoline = 高貴な女性がまとっていた、スカートをふくらませるためのペティコート ーー>ここでは、植民地政策の時代の象徴でもある。


全体のパフォーマンスのアイデアは、同年3月の英国でのスキャンダル(エリザベス2世の母后(1900ー2002)に5人の気のふれた いとこが存在し、精神病院で隔離されていることが発覚)に基づく。パフォーマンス・コーディネーターの Lynn Sharman は、その5人の気のふれた いとこと女性アーティストの置かれている状況の類似性を見いだす。北米先住民族の美術史で、男性アーティスト優勢の中、消去されてきた女性アーティスト達との類似性。あたかも、歴史上彼らは存在していなかったかのように。。

レベッカ・ベルモアのビーバー・ハウス・ドレスは、ちょっとした貿易品、土産品のようなものが絡まっている。中でも、エリザベス2世の顔写真が入ったチャールズ皇太子とダイアナ妃のカップは、目を引く。
Rebecca Belmore-Rising to the Occasion-Ds.jpg



参照:
Rebecca Belmore ホームページ (このサイトで見られる、ビーバー・ドレスと一緒に写っている傘【輪】は、車輪の発明=文明 を表現)
Ryan, Allan J. The Trickster Shift: Humour and Irony In Contemporary Native Art (Vancouver: UBC Press, 1999)

補足:
◎ カナダ国王、元首は、英国女王でもあるエリザベス2世。なので、お札とコインの一部にもエリザベス2世の顔入り。お札は、先住民族のイメージも付いている。お札についてはこちらを。

◎ トロント大学の紋章にもビーバーは登場。
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2009年05月04日

子役の演技

★★★ The Italian【ロシア映画 2005年】
邦題:この道は母へと続く
監督:アンドレイ・クラフチューク


孤児院で暮らす6歳のワーニャ役のコーリャ・スピリドノフの演技が、最近見た子役主演の映画の中でも特に凄い。始まりの数分で、この映画の★が高いことが予測できる。コーリャ・スピリドノフの演技の素晴らしさが決定的な映画。喜怒哀楽、全ての表現に目がすいよる。彼は天才?!

日本語のオフィシャルサイトでは、映画の舞台背景(ロシアの社会状況)、あらすじやインタヴューが読めるので是非。

英語のオフィシャルサイトはこちら

余談:物語は、「母を訪ねて三千里」(イタリア人エドモンド・デ・アミーチス原作、『クオーレ』(1886)からアニメ化された、フジテレビの世界名作劇場)を思い出させる。
ラベル:ロシア映画
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2009年05月03日

感情移入

★★★★ The Return(ロシア語:Vozvrashcheniye)2003年
邦題:父、帰る

>> 第60回ヴェネチア国際映画祭で、金獅子賞&新人監督賞、受賞作。

ほとんどロシア映画を見たことがないのだけど、この映画は、あまり瞬きをせずに見入った。この The Return では、光だけではなく、水が重要な素材。
始めのうちは、お弟(俳優:Ivan Dobronravov)、お兄ちゃん(Vladimir Garin)の気持ちに感情移入している自分を客観視していたつもりが、ストーリーに入り込んでいる間に、いつのまにか父親(Konstantin Lavronenko)の気持ちが沁みる。

The Return-Ivan Dobronravov.jpg
Ivan Dobronravov

後から思えば貴重な経験だったと思えることを、子供の時は、「うちに帰りたい。」と思ったことを思い出しつつ、なぜ、子供の時、反抗的な態度をとってしまったのだろう。。とも考えずにいられない。
それにしても、お父さんが掘り出したケースには、何が入っていたのだろうと、気になる。

Dead Christ-Andrea Mantegna.jpgルネサンス期のイタリア画家、アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna)の”死せるキリスト”(ca. 1490)を知っていると、この映画のメッセージを読むかもしれない。

ヴェニスでのプレミアの2ヶ月前、2003年6月25日、お兄ちゃん役の Vladimir Garin が湖で溺れ、亡くなる。。。

予告編が今でも見られるので、是非アクセスを。
● 日本語のオフィシィアル・サイト>>>
● 英語のオフィシィアル・サイト>>>
ラベル:ロシア映画
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2009年05月02日

映画と絵画

★★★ The Spirit of the Beehive(スペイン:El espíritu de la colmena)1973年

邦題:ミツバチのささやき。

舞台は、セゴビア地方の、Hoyuelo。荒涼とした大地で撮影された映画。市民戦争後の1942年は、住民338人、映画撮影時の1972年は230人、1997年には92名と過疎化のすすむ村。
Hovuelos-Segovia.jpg
© Google Map

映画に映し出される景色を見ていると、私がスペインを旅した時、バスで移動したことを思い出す。大型高速バスのフロント・ガラスに、飛んでいる虫が勢いよく当たり、ガラスがだんだん汚れていくことなど。大地を走っているな、という印象をいつも以上に感じた。
代わり映えのあまりしない景色を移動中、村がぽっこり現れることが度々あったな、と。Hoyuelo には行かなかったけれど、大地に歴史が染み込んで、硬くなり、層となっている景色が脳に残っている。

The Spirit of the Beehiveについて、謎めいた内容、と英語ではネット上で紹介されているが、冊子を読み、ディスク2を見ると、内容が少し近くに感じる。フランコの独裁が1975年まで続き、検閲があった話などを聞くと、考え深い。
Ana-SpiritBeehive.jpg Ana Torrent

VermeerTwoWomenLetter.jpg映画史学史の Santo Zunzunegui 氏によると、この映画の光の写し方と構図から、二人の画家の影響が見られる、と語っている。

一人は、オランダ画家、フェルメール。
映画の、蜂の巣状の窓から差し込む、蜂蜜色の光と、左記のフェルメールの絵画を比較しながら、光がこの映画で重要な役割を示していることを説明。
ディスク2を見た後、映画内の窓ガラスを透過した光がまろやかに見えるな、と。

蜂蜜色がこの映画では、重要な役割を果たす。


もう一人は、スペイン画家、フランシスコ・デ・スルバラン。(1598-1664)
Agnus Dei-Zurbaran.jpg

人と背景の構図、光の当て方などの比較をZunzunegui 氏が説明。フランシスコ・デ・スルバランの特徴と、映画のコンセプトがクロス・オーバーする点に注目。

絵画一枚一枚がつながった映画として見ると、また違った目で映画を見ることができるので興味深い。

2003年に公開から30周年を記念して発売されたDVDもあり、日本では比較的有名なスペイン映画。30周年記念発売のDVDのジャケットや冊子はかわいい。
ストーリーは他のサイトで説明済なので、ここでは省略。他にも絵画と映画の関連性がディスク2で紹介されているので、美術の好きな人にお薦めの映画。

追記/続き
ラベル:スペイン映画
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2009年05月01日

舌をもっと下に。そして前に。

Boon.jpg

この上図は、英語の朗読からの分析データで、母音の舌の位置を示すグラフ。上がネイティヴ・カナディアン。下が私。私が「北風と太陽」のお話を英語と日本語の両方、各3回読み、発音学を専攻している友人が分析した表の一部。私の舌がいかに休んでいるか、ということ、日本語と英語では、舌の運動量が異なるということが明らかである。特に、私の舌が上の歯の近くに移動していない、ということが表に現れている。【実際に友人が分析した方法は、このウェヴサイトのような内容。】


論文サポート・セッションに通っているので、書く方は論文提出の度に少しずつ良くなっている気がする。残念ながら、話す方は、特に発音は、修正する機会がなかなかない。日本人は5つしか母音がないため、聞き取りと異なる母音の発音が苦手だ、とよく耳にするが、ネイティヴの口の中をのぞくことができないので、なかなかどう直せばいいのか戸惑っていた。

この実験に参加し、自分が考えている以上に舌を動かす必要がある、が、なかなか、思うように舌を動かすことに慣れていない、ということを実感した次第。他にも日本語の朗読では、文と文との間、つまり「。」で、間を空ける癖があったのだが、英語では、ほとんど、間を空けない、つまり、ピリオドを意識せずに読む感じ、ということを知る。


友人から、アイオワ大学のウェブサイトを薦められる。
非常に役立つサイト。


なおすぞぉ。。
posted by mandelin-coffee at 13:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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