2010年05月28日

男性に内在する女性的な側面

OCAD (オンタリオ・カレッジ・オヴ・アート&デザイン)で、2010年5月6日〜5月9日の間に開催された95th annual Graduate Exhibition(第95回恒例卒業生展覧会)を見に行く。

ユーモアのある作品は印象に残る。

ホォマ(Homa)さんの作品(ROUND SQUARES)が、後になっても気になったので、彼女に連絡をとったところ、丁寧な説明とともに返信が届く。作品の背景にあるコンセプトを知ると、より作品が面白くなるので、今日は、Homaさんから届いた返信をこのブログで訳したいと思う。

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Homa Esmaili



タイトル: ROUND SQUARES  まるい(二つの)四角下記画像、クリックにて拡大可能

HomaEsmaili-Round-Squares.jpg
© Homa Esmail

作品解説:日常生活で、(バーでバイトをしていることもあり、)絶えず男性と交流し、観察する機会がある。その男性ら全部が必ずしも自分の友人ではなく、全くの他人であることもある。一度会ったきり、二度と会うことのない男性もいれば、友人、バイトでの同僚のように長く知っている男性もいる。今回のシリーズで作成した対(つい)の作品、丸く立体物では、男性について、 時には、からかい、時には批評をしながら、私の経験、考え、不満を表現している。 作品の行程を通じ、私が探求し表現しようとしているのは、単なる見物者というよりむしろ、積極的な参加者になること。今回の作品の焦点である「男性らしい」とされる特性やふるまいについて、より理解を深めようとするものである。


上記画像の男性像の前にある作品の拡大図↓

● 花粉:9 x 4 x 4 cm
純銀
Homa-Esmaili-Pollen.jpg
© Homa Esmaili



● MR. BRED V. NER:9 x 4 x 4 cm
純銀、銅、コットン
Homa-Esmaili-Mr.Bred.V.Ner-2.jpg
© Homa Esmaili



● 一気!:9 x 4 x 4 cm

Homa Esmaili-Chug It!.jpg
© Homa Esmaili



● 均衡のとれた社会:9 x 4 x 4 cm

Homa Esmaili-Stable Equalibrium.jpg
© Homa Esmaili



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一通り、作品を眺め、なんとなく「金玉」という言葉が頭に浮かばないだろうか?

というわけで、
アーティスト、Homaさんによる さらに詳しい説明とともに、もう一度作品を見てほしい。


HomaEsmaili-RoundSquares.jpgタイトル、[ROUND SQUARES まるい(二つの)四角]のコンセプトは、雄々しさ内の女性的な特性。Homaさんによると、 Square(四角)は、 一般的に、強さ、 堅固さ/安定、たくましさのような男性の特性として解釈される傾向があり、Circle(円)は、柔らかさ、儚さ、デリケートで傷つきやすい、と言った女性の特性として解釈される。しかしながら、男性の 睾丸(金玉)は、まさに、柔らかく、もろく、感じやすく、傷つきやすいにもかかわらず、男性の(強さの)シンボルとして考えられている。

Homaさん曰く、この作品は同性愛者を対象としたものではない、と説明しながらではあるが、カナダ人アーティスト、Patrick Traerの言葉を引用。

− Patrick Traer ー
睾丸(金玉)は、男根より、格別に女性的であると考え続けている。玉はいい。かわいい。二つの玉はお互いよく似て、快適な袋内で一緒にぶら下がっている。柔らかく、丸く、非常に感じやすい。簡単に傷つくし。。「女性的」なんていう言葉で簡単に片付けられるものではないが、 睾丸(金玉)は、同性愛者(ゲイ)を叙述するのにより適しているように考える。



● 花粉:9 x 4 x 4 cm
純銀
Homa-Esmaili-Pollen.jpg
© Homa Esmaili

花粉のコンセプト:感情を(コントロールせずに)表現する男性は、弱いとか、不完全だとか、女性っぽいとか言われるが、そう見るべきではない、と信じている。 弱さ、不完全さ、女性らしさは、自然で美しい。不完全さを、弱さと同意義で捕らえることを止める時期ではないだろうか。不完全さは、強さと完成を表現するものとして評価することを初めてはどうか。
花粉(=精子細胞)は、自然に自然の一部で起こることの度重なる再現。自然なのだけど、生活の中で、つまり、環境や経験によって、非常に左右される。私の作品の「花粉」は、欠点があったり、不完全でありながら、それでも美しさを放つ。日本の「侘び寂び」の心を私なりに表現した作品でもある。


● MR. BRED V. NER:9 x 4 x 4 cm
純銀、銅、コットン
Homa-Esmaili-Mr.Bred.V.Ner-2.jpg
© Homa Esmaili

MR. BRED V. NER: 供給者、一家の稼ぎ手、パワーとコントロールを持つ者としての男性。
"Mr.Bred.V.Ner" を声に出しながら、繰り返し言い続けると、 Mr. BREARDWINNER(一家の大黒柱)と聴こえる。
作品にコットンを使用したのは、綿が、産業、商業、パワー、繁栄と、歴史的に長く結びついているため。作品で、ヴィクトリア時代のスタイルで正装しているコットン・ボールは、ヴィクトリア王朝時代の綿工場で浸透していたコンセプト、男性による所有権、富と権力への見解も表現する。この作品は、さらに、男性の家庭内での権威と、 妻と子供達に経済的安定を確固とし、 供給する男性の能力も醸し出す。


● 一気!:9 x 4 x 4 cm

Homa Esmaili-Chug It!.jpg
© Homa Esmaili

一気!:男性の飲酒癖 
   “飲める男は男らしい”という社会のある種の見方を表現。


● 均衡のとれた社会:9 x 4 x 4 cm

Homa Esmaili-Stable Equalibrium.jpg
© Homa Esmaili

均衡のとれた社会 ーー> 社会によって形成された男性像のあり方。


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私の場合、より深いコメントをもらい、なるほど、と妙に納得。
クッションの上に大事に置かれた作品、微笑ましくもある。
タグ:OCAD
posted by mandelin-coffee at 12:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術学校で見た作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月02日

390本目に見た映画

★★★★ The Counterfeiters(2007)
監督:Stefan Ruzowitzky(← クリックすると、シュテファン・ルツォヴィツキー氏のホームページへ)
ドイツ語タイトル:Die Fälscher
日本語タイトル:ヒトラーの贋札


2010年1月〜4月までに見た映画の中で、一番印象に残る映画

▼ 英語のサイトから ▼


▼ 日本語のサイトから ▼

上記、画像をクリックするとオフィシャル・サイトへ行く。英語、日本語のサイト両方で詳しく粗筋や、役者の説明があるが、英語のサイトはよりアーティスティック。実は見る前、日本語のタイトル「ヒトラーの贋札」から、全く異なる映画を想像してしまった。贋造プロジェクトにヒトラーは無関係ではないが、戦争はヒトラー一人の責任ではないであろうことを、見終わると感じる。

DVDの特典では、紙幣・パスポートなどの贋造を行なった人々も、実際は極限まで痩せ細っていたことなどを写しだす。辛い過去と向き合う事は、胸が突き刺される思いを味わい続けること。第二次世界大戦の生き証人が減っている中、アドルフ・ブルガー(Adolf Burger)氏の戦争の事実を伝えようとする活動には敬意を。

*****


追記:オリバー・ストーン監督のW. (日本語タイトル『ブッシュ』2008)を多くの人に見てもらいたい。人間味のある、どうしようもないんけど 周りの人を魅了するブッシュが描かれている。そのため、映画の初めでは、監督は第43代アメリカ合衆国大統領に同情しているのかな、と感じる。が、映画の終わりでは、名声を渇望する姿、父親より立派になりたい欲求の塊である大統領の決断に、多くの国が賛同した現実を見ることとなる。この映画の視点は、大統領の任務とは何か? 賛同する国の決断とは何か?などを考えさせられる。
英語のオフィシャル・サイトガイドも凝っている。シネマトゥデイに記載されている、オリバー・ストーン監督のコメントとともに映画を見ると、考えさせられることが多い。
posted by mandelin-coffee at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | Films & Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月01日

武道 だいすき

★★★★ Ip Man「葉問 (イップ・マン)」(2008年公開)
     監督: Wilson Yip ウィルソン・イップ



日本人役者、池内博之が出演しているが、残念ながら日本では未公開。
残念。。。
とは言うものの、Youtubeで、短編づつ英語字幕とともに見られるようである(上記)。

日本で公開しない理由はわからないが、残忍な日本兵に対する敵愾心のような感情が描かれているのは事実でも、英語の字幕から感じた個人観では、映画内で登場する日本兵の、非人道的な行為を行なった兵士に対してであって、現代の日本を国として責めている映画ではない(*)。戦争を起こしてはいけない、という気分にはなる。
中国伝統武術を誇る愛国心で、柔道を卑下しているとも特に感じない。見栄っ張りの中国人も登場するし、偏見で創られた映画という感じもない。真剣な題材を取り扱っているが、コミカルな部分も取り入れている。純粋に興味深い映画である。

余談だが、カナダ人の友人は、池内博之が、この映画で一番カッコいい!と言っていた。日本人男性が皆彼みたいだったら、海外で日本人男性もてるだろう。。
中国語・英語公式サイト ーー> Ip Man(2008)
中国語・英語公式サイト ーー> Ip Man 2(2010)

Ip Man(2008)については、香港在住、nobuyasuさんのブログ記事をお薦め。
ーー2008年12月29日付:『葉問 (イップ・マン)』(原題) Ip Man
ーー2010年5月3日付:『葉問2(イップ・マン2)』(原題) Ip Man 2

音楽も素敵な映画。サウンドトラックのMaestroを聞く度に、空に舞い上がって飛びたくなる。映画内の役者による武術(詠春拳)の動きから、「気」を感じるのは難しい。が、合気道のような武道を本気で習いたくなってしまっている今日この頃。


(*)別の香港映画、Running on Karma(2003年公開)でも、日本兵を取り扱っている。カルマ(業:前世の善悪の行為が、現世で受ける報いに影響)をコミカルに取り扱っている。この映画では、中国人の若く純真な女性が、前世は残虐な日本兵だった、という設定。こういう視点の映画は、違った意味で考えさせられる:そこまで、カルマは手厳しいのだろうか?、と。

(**)今年春公開のIP MAN 2の著作権はどうなっているのだろうか。。。と思いつつ、Youtubeで IP MAN 2を見てしまったばかり[2010年6月5日付]。やっぱり武術を身につけて気を感じたい。。。
posted by mandelin-coffee at 05:05| Comment(0) | TrackBack(0) | Films & Others | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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